あれは冬も終わりに近い頃のことだった。

小雪が舞うような日で、あまりに寒いので、
店を早めに閉めて家の中に居ると電話が不吉な音をたてる。

でてみたら、さっき最後に買い物して頂いたカップルの方からで、
当店で買い物後に見晴台のほうに車で向かったところ、
途中でスリップして側溝にはまり動かなくなってしまったので、
町まで運んでもらえないかとのこと。

正直なところなんだか腑に落ちないけれど、
いきなりそんなこと言われて頭も回らず、
とりあえず行きますと返事をしてしまったので、
厚着をして現場に向かいました。

ほとんど日も落ちて人気のない山中なので、
迎えにいったらいきなり2人に襲われたりしないだろーなと、
大袈裟なようですがちょっと不安。

道中、完全に凍っているところがあったりして、
四駆スタッドレスの自分の車でも滑る。

山頂近くで車を発見。
JAFを呼んだけれど、寒い日だったので路面が凍り、
各地でトラブルが多くて来るまでに一時間位かかるので、
そこでじっと待ってる訳にもいかず電話したとのこと。

後から冷静に考えるとタクシー呼んで下さいって話なんですが・・・。

ノーマルタイヤで四駆でもなくレンタカー。
ほとんど自殺行為。

三角の非常標識みたいのも持ってないようなので、
自分の車のを置いて、お二人を乗せて下山。

これで終わってその後すっかり忘れていたところ、
ゴールデンウィークにわざわざお礼を言いに
2人でお店にまた来てくださいました。

終わり